【6】企業経営 | (2)決算対策

企業経営に関する以下のQ&Aにお答えしています。
(1)海外進出 (2)決算対策 (3)リスクマネジメント (4)事業承継 (5)M&A (6)税務調査

(2)決算対策の質問を表示しています。

  • 【Q1】決算が間近にせまってきました。何か見直さなければならないことはありますか。

    【A】決算が目前にせまってきても、何もしないという経営者はほとんどいないと思います。利益が出ているのかどうか、税金がどの程度になるのか、期末になる前に事前に知っておきたいことは多々あるでしょう。質問に「見直す」とありますが、見直すというよりも、決算前に対応すべきことがあるということをここで知ってほしいと思います。というのも、決算日になって申告すべき事柄があったとしても、間に合わず、次期に繰り越しになってしまうからです。期中の経済活動にかかる要件はすべて決算書に記載できるようにします。ここでおさえておくべきポイントは、税金のかかるものと、そうでないものを区別するということです。申告すべきものは当然ですが、申告をしなければ税務上のメリットが得られないという点もあるからです。たとえば、利益が大幅に出ているから駆け込みで期末間近になって耐久消費財を購入したとしましょう。耐久消費財の減価償却費は損金算入できますから、これはこれでメリットがある一方、購入した期日次第では、使用月数により、損金算入できる減価償却費は少額にとどまってしまいます。

  • 【Q2】今期は思った以上に利益が出ました。節税対策をするにはどのような方法がありますか。

    【A】よく経営者の方からの要望に多いのは節税についてです。どうしたら利益を減らせるのか、せっかくの利益だから何とか利益を残せる方法はないか、そう思われるようです。確かに、利益が出るということは課税所得が増えていると考えられますので、税金で支払うならば節税をしたいという気持ちもわからないではありません。しかし、会社というのは当期だけで終わるのではありません。次期も、それ以降も存続していくものです。そうなると、単に節税という対策だけでは意味がないといえます。ではどうすればいいのか。まず、節税対策という前に、事前に決算数値を出すことです。決算日ぎりぎりになって利益が出たからその分で「何か購入しよう」とか、そういう安易な対応は慎むべきです。たとえば、期末間近に消耗品を購入しようとしたとします。通常、消耗品は経常的に一定量を取得し、それを消耗する場合には棚卸資産として計上せず、消耗品を取得した時点で損金算入ができます。しかし、期末間近に、利益が出たからと言って大量に購入した場合、損金算入は認められていません。対策を講じるためには、どのような要件になっているのか、調べておくことが必要です。

  • 【Q3】決算が近づいてきました。利益が出そうなので、これまでの従業員に対して決算賞与を出そうと思います。これは節税になるのでしょうか。

    【A】決算賞与は、従業員のほか、役員に対しても賞与を出すことができます。税務上では役員賞与はできませんが、従業員の賞与に関しては損金算入できます。たとえば、従業員25名の中小企業で、今期の利益が1000万円、法人税率が30%(*ここでは中小企業の軽減税率等は考慮しません)だったとしましょう。法人税額は300万円かかる計算になります。もし利益のうち従業員一人あたり25万円、計500万円の決算賞与を出したとすると、今期利益が500万円になりますから、法人税額も150万円に減額できますので、表面的には節税効果を生み出すことができます。決算賞与を出す期末までに支払いの有無について事前に従業員に通知をする必要があります。また、賞与の支払いについては、決算日から1か月以内となっています。ただし、利益が出なかった場合には決算賞与は出ないでしょうから、このような慣行は従業員のモチベーションを下げる要因にもなります。ですから、当期利益目標を達成した場合、利益の何割については従業員に決算賞与として還元するなど、企業内で決算賞与に対する評価基準を設けるなどの対策は必要といえましょう。

  • 【Q4】決算対策とはいつごろから始めるものでしょうか。

    【A】企業にとってもっとも大事な日、それは決算日です。当期の売上や利益、経費関係など、1年間の収支をまとめる最終段階ですから、来期以降に企業活動がどうなるのか、とても気になるところです。ところで、決算日までに会社でやることはなんでしょうか。やはり、売上や利益が上がったところを見せようとするのか、あるいはコストを削減した点に着目したいのか、将来のビジョンを見据えた経営計画のとおり実行していることをアピールしたいのか、経営者にとってもまさに正念場といえます。しかし、決算日直前になってこのような決算対策はできるものではありません。予め、決算に備えなくてはなりません。 いつからやるのかというと、理想は前期が終了し、今期がスタートした時点から始めるのでしょうが、当期の動き方を見てから判断することも必要でしょう。上場企業であれば少なくとも毎月の推移と、4分の1期ごと、半期を終えた時点での中間決算など、最終の決算日までに何度か経営状況を把握するタイミングが訪れます。このような節目において見直し、ある程度の予測がついてから決算までに対策を講じるのが現実的といえます。駆け込み対策では抜本的な解決策はできませんので、なるべく早い段階から対策を実行するようにしたいところです。

  • 【Q5】決算までにどのような対策をすべきでしょうか。

    【A】経営者にとってもっとも関心が高いのは、できるだけ利益を残し、節税できるところは節税したいということでしょう。その最後の段階が決算になります。まず確認をすべきことは、損金算入できるかどうかの判断をすることです。具体的には、引当金、保険、設備投資、備品、消耗品、未払金、貸倒引当金、決算賞与など、損金算入できるものはないかを確認します。通常ならば損金算入できるものであっても、耐久年数が短いとか、損金算入できない保険商品であるとか、一時的に大量購入したものであるなど、条件に合わないものならばできないものもあります。ですから、どこまでの控除が可能かどうか、ここで確認することが必要です。また、決算日後も決算調整や利益処分について手続きを取る必要があります。現預金等をはじめ、棚卸資産、売掛・買掛の調整、未払い・未収・前払い等の計上などの再確認をします。そして、減価償却費の計算や繰延資産の償却、評価損の計上などの損金経理等をし、決算調整をすることが求められます。このように決算にあたっては細かい確認作業が必要になりますが、漏れのないようにしましょう。