【7】医院経営 | (1)新規開業支援

医院経営に関する以下のQ&Aにお答えしています。
(1)新規開業支援 (2)立地条件 (3)増患対策 (4)医療法人化 (5)労務リスク (6)医業承継

(1)新規開業支援の質問を表示しています。

  • 【Q1】現在、大学病院に勤務しています。近々地元で開業する予定ですが、開業にあたってどのような点に留意すればいいでしょうか。

    【A】医院等の開業をする場合、どの場所で行うかを決める必要があります。地元ということなので、ご自宅の敷地内に併設するのか、それとも別の場所に新規購入するのかということです。次に、どのような科目で診療をするのかということです。開業する地域によっては、同業他院が数多く点在していたり、反対にまったくなかったりする場合があります。そういったリサーチも必要でしょう。もし賃貸物件などを借りる場合でも、診療科によって医療器材の搬入に支障はないか、大型機器などの使用電力容量は大丈夫かといったことなども留意する必要があります。もし新規で土地や建物などを建てようとするならば、借入に関する金融機関などへの融資審査が必要になります。また、融資を受けた場合には、返済計画も立てることから、経営に関する計画立案はしっかりとすることが求められます。

  • 【Q2】開業をするにあたって、どれほどの予算が必要なのかわかりません。目安となる自己資金はいくらぐらいですか。

    【A】ここでは一般的な目安についてご紹介します。新規開業にかかる費用には、土地・建物代(ビル開業の場合は内装・借地代等含む)、設計費、人件費(スタッフのほか、当該医師の生活費含む)、医療設備費(医療機器および医療備品等を含む)、広告宣伝費、医師会入会費などがあります。どこの地域で、どのような規模の医院を開業するのかによって、土地代金や建設費について違いは出てくると思いますが、最低資金として1000~2000万円以上の自己資金に加え、残りは金融機関などから借入れをすることが必要です。土地や建物代などが必要な場合は、これらの費用の35~40%程度の自己資金が必要になるといわれます。また設備投資として、どのような医療機器を入れるのかについても変わってくるでしょう。ただ、医療機器はとても高額なうえ、常に新型が製造されていることも考えられますので、購入するというよりも、リース契約を締結したほうがよいこともあります。これらをトータルして考えると、少なくとも5000万円以上の資金を要することになると思われます。

  • 【Q3】開業資金を工面しようと思っています。どこに相談すればいいでしょうか。

    【A】もっとも身近な相談先はご家族などでしょうが、当初数千万の出資が必要となりますので、すべて親族等からまかなうことは容易ではないと思います。そこで公的機関など、資金面で調達可能な先を探す必要はあります。開業する資金を用立てるには、さまざまな方法があります。公的機関・組織ですと、独立行政法人福祉医療機構(旧社会福祉・医療事業団)、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)、各自治体の制度融資のほか、各医師会からの借り入れなどができます。それ以外ですと、銀行や信金などの民間金融機関などがあります。借入れする際のポイントとしては、なるべく固定金利で、担保の差し入れや保証人が不要など、条件面で有利な先から借りるのが得策です。たとえば日本政策金融公庫は、無担保・無保証人で固定金利ですから、金利変動のリスクはありません。民間の金融機関の場合ですと、無担保型と有担保型に大別されていて、無担保に比べて有担保のほうが借入期間もずっと長くなります。金利は変動型と固定型がありますが、固定型で借入しても期間を超えてしまうと変動に変更されるものもあります。

  • 【Q4】資金計画を立てるうえで注意することはなんでしょうか。

    【A】新規で開業する場合、資金面で調達できる先を探すことは必要になりますが、その際に大切なのは今後、開業してから軌道にのるまでの資金計画をきちんと立てることが求められます。とはいえ、最初は漠然としていることもあるでしょう。実際に事業が動いてみないと、確かなことはわかりません。ましてや、開業を思い立ったとしても、その先はどうなるかわかりません。そこで、資金計画を検討するうえでのタイミングとして、漠然とした状態のときに考え始めるというのがよいようです。というのも、最初は漠然としていても、のちのち、開業計画が進むにつれて現実的な事柄が見えてくるものです。また、将来的なビジョンや、理念のリアル化など、理想と現実を見極めつつ、開業への思いがいっそう募ってくるというものです。最初は漠然としていても、資金計画を詰めていくことによって、具体的に計画を立てることができます。現在は医療機器も高度化がすすんでいますので、最初から導入する選択肢もないとはいいません。しかし、開業当初は資金がかかります。高価な機材を導入するならば、リースにするとか、できるだけ出資をおさえるようにすることが大切でしょう。

  • 【Q5】新規で開業する場合、事業計画の立案から開業まで、どれほどの期間をみておけばいいでしょうか。

    【A】開業の形態について、新規で土地や建物をつくるのか、それともビル内のテナントで開業するのかで違います。開業用地が決まっている場合には、あとは設計や工事、建設期間などを入れ、改印の準備期間を入れるとおおよそ1年ぐらいの期間が最低かかることになります。ビルなどのテナントを探して、そこで開院しようとする場合は、テナントを探す期間だけでも6か月から1年近くはとっておくべきでしょう。さらにそこから設計などに入りますので、実際に開院できるのは探す期間も含めると1年半以上はかかる計算になります。これは実際に立地条件が決まり、建物などのリフォームや建築が進んでからの工期です。事業計画そのものは、それよりももっと前からになります。とくに資金を調達する先が公的機関や民間金融機関などとなると、融資審査のための書類作成から融資実行まで数か月はかかるでしょう。資金面の目途がたち、それから用地選定や建築等が始まりますので、トータルで2年以上は余裕をもってみておくことが必要でしょう。