【7】医院経営 | (6)医業承継

医院経営に関する以下のQ&Aにお答えしています。
(1)新規開業支援 (2)立地条件 (3)増患対策 (4)医療法人化 (5)労務リスク (6)医業承継

(6)医業承継の質問を表示しています。

  • 【Q1】地元で長年、内科医院を経営しています。もうじき60歳で、今のところ後継者問題は考えていないのですが、必要なものでしょうか。

    【A】医業承継問題は、元気なうちはあまり考えないものです。もうじき還暦をむかえられるということですが、まだまだ現役で活躍できる年齢です。後継者問題についてはもう少し後で考えよう、そう思うのもわからなくはありません。しかし、いつ何が起こるかは誰もわかりません。ある日突然動けなくなってしまったり、事故に遭わないとも限りません。特に個人で開業している医師の場合、もし本人が病気や事故などで動けなくなってしまったら、代役をしてくれる医師はすぐに見つからないかもしれません。また、開業医の場合ですと、診療にくる患者さんたちの診療にも影響が出ます。たとえ今が元気であっても、後継者問題は考えておくべきことといえます。後継者にまかせるといっても、一朝一夕でできるものではありません。後継者に医院のすべてを承継するわけですから、事業承継プランをきちんと立て、そのプランにそって計画的に行うことが肝要です。

  • 【Q2】医業承継をするには、どのような方法がありますか。

    【A】医業承継をする方法としては、親族への継承(実子など)、親族以外への譲渡(第三者への譲渡)、M&A(吸収・合併)などが考えられます。親族への継承については、いわゆる開業医の子息などが継承するパターンです。この方法による継承は約4割程度と言われています。そうなると、残り6割は親族以外への継承となります。つまり、半数以上が親族による後継者ではないというのが実情なのです。親族以外への継承には、個人から個人、個人から法人(法人から個人)、法人から法人の各形態があります。後継者がいる場合にはそれほど問題はないでしょうが、いない場合には事業を継承する人がいないわけですので、もし院長に何かがあると最悪の場合は廃院しなければならなくなります。このような事態になってしまうと、院長のご家族はもちろんこと、通院をしていた患者さんなどにも影響を与えてしまいます。そこで、後継者がいない場合には、個人医院であれば医療法人など法人格にすることをおすすめします。あるいは、M&A(吸収・合併)という手法も選択肢としてあげることができます。

  • 【Q3】医療法人を経営しています。医療法人の場合、事業承継で留意することはなんでしょうか。

    【A】医療法人も個人の診療所と同様、親族への継承、親族以外の第三者への譲渡、M&Aなどが事業承継の手法となります。医療法人による継承は、個人と違って比較的承継がしやすい点が特徴です。たとえば、医療法人のトップが交代するとなっても、会社の社長と同じく、スムーズに承継できるというメリットがあります。また、法人として継続して事業運営されているという連続性が保たれているので、非常に円滑に、しかも、税務上の手続きも不要のままできるというメリットがあります。もっとも懸案となる問題は、引き継いでくれる人が、これまで同様に地域に密着した医療を提供してくれるかどうかでしょう。いわゆる、医療理念といったものが託せるかどうかということです。性格も医療に対するこだわりもまったく正反対の人に継承してしまったとすると、これまで積み重ねてきた信頼や実績も、すべて水泡に帰してしまうかもしれません。事業承継ができたとしても、かえって仇になってしまう可能性だってあるのです。人間と同じく、他人に事業承継するにしても相性もあると思いますので、面談を何度もし、納得のいくまで相談をすることが大切かもしれません。

  • 【Q4】医業承継はタイミングの問題もあると聞きました。どのようなことでしょうか。

    【A】後継者がいて、スムーズに 医業承継できる環境の方ならば、タイミングなどはあまり考える必要はないかもしれませんが、第三者に引き継ぐとなると考えておかなければならないことです。というのも、第三者が医院を引き継ぐ目的によって、なるべく早く引き渡したほうがいい場合もあります。後継者に悩む医師ならば、引き渡せるタイミングが合えばそのほうがメリットはあるはずです。しかし、そのタイミングを逸してしまうと、第三者が医院を引き継ぐ魅力が半減し、あまりうまみがないままで継承することにさえなってしまいます。また、医院の価値が目減りしない前に、できるだけ早くに継承してもらったほうが、資産価値の評価も高い状態で移すこともできます。どのタイミングがグッドタイミングなのかは当事者の方しかわからないと思いますが、医業承継をすると決めたなら、できるだけ早い段階から事業承継に関する計画書を作成し、医院の価値が高いうちに承継することも視野に入れておくべきでしょう。

  • 【Q5】医療法人を経営しています。設立したのは平成18年ですが、事業承継にあたって留意することはありますか。

    【A】医療法人として設立した時期によって、現在と若干税務上の対応が異なるケースがあります。なかでも、平成19年3月以前に設立した医療法人については、経過措置型医療法人となっている場合があります。このような医療法人は、相続税についての対策をすることが求められます。たとえば、医療法人設立にあたって出資した分については財産権に相当します。出資とは、わかりやすくいうと株式会社の株価に相当します。これによると、社員が退社時において出資した持分については払戻し請求ができるということになっています。じつはこの出資分については、相続税の課税対象になることから、出資分について後継者に承継することになると考えられます。しかし、設立から十年以上が経過している医療法人の場合、出資評価については当時の数倍から数十倍に相当していることも多いことから、もし評価をした場合には、相当な金額がかかることになります。そこで、相続税対策として、この出資の金額をあらかじめはじきだしておき、生前贈与のほか、事前に相続対策を講じることが必要です。