【5】資金運用 | (4)退職金活用
資金運用に関する以下のQ&Aにお答えしています。
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(4)退職金活用の質問を表示しています。
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【Q1】もうすぐ退職の時期をむかえます。退職金にも税金はかかるのでしょうか。
【A】退職金を特別な収入と思っている人も多いのかもしれませんが、退職金も所得になります。正確には、退職所得とよばれます。退職所得には、勤務先から受ける退職手当や、社会保険制度によって退職に基因して支給される一時金、契約に基づいて生命保険会社等から受け取る退職一時金といったものなども含まれます。このように、退職金も所得ですので、課税されるわけですが、退職所得金額は{収入金額(源泉される前の金額)-退職所得控除額}×1/2で算出します。ここでいう退職所得控除は、勤続年数が20年以下ならば「40万円×勤続年数」(*但し、80万円に満たない場合は80万円)、20年超の場合は「800万円+70万円×(勤続年数-20年)」で計算します。たとえば、勤続年数が25年1カ月の人の場合で計算すると、「800万円+70万円(26年-20年)」(*勤続年数1年未満は1年に繰り上げ)=1220万円が退職所得控除額となります。普通は退職先で「退職所得の受給に関する申告書」を提出しておけば源泉徴収されますので確定申告の必要はありませんが、上記書類を提出しない場合は受給者本人が確定申告をして、所得税の精算をします。
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【Q2】退職金にも種類はあるのでしょうか。
【A】退職金というと、思い浮かべるのは退職時に一時金としてもらう退職一時金ではないでしょうか。退職一時金というわけですから、一度きりにもらえるお金であることはおわかりいただけるかと思います。じつはこの退職一時金のほかにも、退職金はあります。それが、退職企業年金と呼ばれるものです。企業年金とは何かというと、公的な年金とは別に、企業ごとで資金を運用・管理し、公的年金の補完をするための私的年金のことです。個々の企業によって企業年金の受け取り方や、年金額は異なりますが、退職時には、年金としてもらい続けるか、一時金として一括してもらうかを選択することもできます。退職一時金と退職企業年金を一緒にもらうとすると、大卒入社の場合ですと2500万円以上、高卒以上では2200万円以上(いずれも平成25年就労条件総合調査(厚生労働省)より)となっています。この調査によると、退職金・年金制度を設けている企業は、全体平均で7割以上となっていることからも、企業年金をどのようにもらうかで、セカンドライフの計画の立て方も変わってくるといえます。
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【Q3】退職金をどのように運用するかで悩んでいます。まずどのようなことに留意すればいいでしょうか。
【A】人生のなかで、一度に受けとる金額としてもっとも大きなもののひとつが退職金といえます。長年勤務してきた功労に対する報償的な意味合いの強い給与ですので、どのような使い道をしようか、色々悩むところでしょう。たとえば、住宅ローンによる支払いがまだ済んでいない人ならば、思い切って退職金の一部を充当して債務をゼロにすることもあるでしょう。あるいは、せっかくお金と時間があるのだから夫婦で海外旅行でもしようかと計画を立てる方もいることでしょう。しかしよく考えてみてください。60歳で定年になったとして、それ以降収入がなければ、老後の生活費はどこからねん出できるでしょうか。公的年金も65歳からですし、それまでの5年間を退職金だけでまかなったとしても、それ以降は年金だけです。こうなると考えたいのは、退職金をどのように運用するかでしょう。堅実な運用方法としては、金融機関などに預入しておくことでしょうが、利回り的にはあまりうまみがありません。そこで、投資信託や株式などに活用する方法もありますが、リスクがともなってきますので、運用と預入のバランスを考える必要があります。最近では65歳定年制度を設けている企業も増えています。できるだけ会社で働けるうちは働いて、少しでも退職金を減らさぬようにすることが肝要かもしれません。
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【Q4】中小企業の経営者です。退職金はもらいたいと思っていますが、会社の経営が心配です。何か良い方法はあるでしょうか。
【A】一般の社員と異なり、会社役員の場合は退職金も高額になる傾向があります。もちろん、会社に対して貢献してきた度合いは違いますから、それ相応な退職金をもらうのは当然といえるでしょう。しかし、会社の経営にまで影響が及ぶような退職金をもらってしまったら、会社自体の存続が危うくなります。かといって、相応な報酬がなければ老後の生活にも影響が出ます。ご質問のような場合、最適なのは保険商品を活用することだと思います。保険商品といっても、どのようなものでもいいというわけではありません。ある時期が来たら退職金として現金が受け取れるものです。つまり、保険を解約して、解約返戻金で退職金に充当させる方法です。これを生前役員退職金といいます。保険を活用すると、毎月の保険料が損金扱いになりますし、万が一のときにも対応できます。もちろん、解約時の返戻金が退職金に充当できるためには、毎月の保険料や保険契約期間などもおさえておかなければなりませんが、この方法ですと、保険料コストをおさえつつ、必要な退職金を見えないうちに積み立てておくことが可能です。会社の経営にもやさしく、退職金を支払ったとしても、経営に影響が出るものでありません。退職金の原資を考えるうえで参考にしてみてください。
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【Q5】これまでの功労により、役員退職金をできるだけ出してあげたいと思います。会社規定はあるのですが、どのような点に留意すべきでしょうか。
【A】一般的に、退職金については、会社規定にもとづいて支払われます。そのなかで「役員への退職金」に規定された金額が支払われることになるわけですが、役員の場合、「最終報酬月額×役員在任年数×功績倍率」という算式で計算するのが通例です。よく、これまでの会社に対する功績を考慮すれば、少しでも役員に退職金を出してあげたいという経営者もいるようですが、ここで注意してほしいことは次の2点です。会社規定で上記の算式を提示している場合は、「最終報酬月額」がネックとなってきます。そこで、退職金を多く支払おうとして急に報酬を上げたという経営者もいるかもしれません。しかし、このような退職間近で急激な報酬月額を上げてしまうと、税務調査の際に認められない場合も出てきます。もうひとつ注意することは、功績倍率です。功績倍率とは、会社に対する功績を倍率で示したもので、一般的に経営者は3倍、専務など上席役員は2倍、平役員は1・5倍ということのようです。もちろんこれがすべての企業に当てはまるわけではありませんが、功績倍率を根拠もなく5倍とか10倍に上げてしまうと、認められない場合も出てくるようです。最終報酬月額については、退職間近ではなく、2~3年前ぐらいから報酬月額を上げるなど、退職金について考慮したうえで段階的に上げるべきでしょう。あるいは、「最終」ではなく「最高報酬月額」という算式で表すなどの対応もできます。