【4】保険有効活用 | (6)節税対策

保険有効活用に関する以下のQ&Aにお答えしています。
(1)リスク分析 (2)適正保険診断 (3)争族対策 (4)安定経営対策 (5)税務申告 (6)節税対策

(6)節税対策の質問を表示しています。

  • 【Q1】なぜ、保険商品は節税効果が期待できるといわれているのでしょうか。

    【A】節税対策ということならば、法人保険について解説します。法人自体が加入する法人保険のメリットは、節税効果が得られるということがあげられます。簡単にいいますと、保険の種類にもよりますが、支払っている保険料の全部もしくは一部が損金算入、つまり経費として認められるということです。法人保険は、いわば税務処理と表裏一体です。どのような保険商品が自社にあっているのか、節税効果が得られる商品は何なのか、といったことがなかなかわからないものです。まずは保険のプロに相談するのがもっともよいと思います。ちなみに、あまりに節税効果を期待しずぎるものよくありません。そもそも保険商品は万が一のリスクをヘッジするための商品です。あまり欲を出しすぎず、節税効果が期待できると同時に、保険機能も得られるような商品を選ぶことが肝要です。

  • 【Q2】生命保険の種類によって節税効果に違いがあるのでしょうか。

    【A】節税効果が期待できるのが保険商品ですが、すべて商品が節税効果を期待できるというわけではありません。保険商品によって税務処理にどのような違いがあるのかを知っておく必要があります。ここでは、定期保険と終身保険、長期平準定期保険についてみていきましょう。まず、定期保険の場合、保険金受取人が法人ならば、死亡保険金は全額損金算入ができます。しかし、保険金の受取人が遺族の場合、役員などのみを被保険者とする場合には、給与して取り扱われます。では終身保険はどうでしょうか。保険受取人が法人である場合は、損金扱いとはならず、すべて資産計上することになっています。保険受取人が遺族の場合、給与として計上されます。長期平準定期保険の場合は、条件があり、「保険期間満了時の被保険者の年齢か、もしくは保険期間を2で乗じた数字に契約年齢を加算した数字が70歳超かつ105歳超」の場合、保険期間のうち当初6割の期間ならば資産計上および損金算入は2分の1ずつ、残り4割の期間は保険料全額を損金処理し、6割の期間で資産計上した分を残りの期間で均等に取り崩し損金に算入する、となっています。このように保険商品によって損金か、もしくは資産計上かの割合が違います。

  • 【Q3】節税効果を期待するあまりに、注意することは何でしょうか。

    【A】節税効果を期待できる商品には、長期平準定期保険や逓増定期保険などがあります。この2種類の保険商品がどのように節税効果がえられるのかというと、つまり保険料が高額で設定できるからです。企業で保険料をかけることで、損金算入できるといいますが、そもそも損金算入とは、経費として認められるかどうかであり、認められればそのぶんの節税につながるからです。ならば、保険料の負担額が大きいほうが、節税効果が出るという結果につながりますので、そのような保険商品が節税効果を得やすくなるのは当然のことです。でも、ここでひとつ注意をしてほしいことがあります。節税できるからといって、月額の保険料が高額であったとして、それだけで企業経営はよいのかということです。大して利益がないにもかかわらず、保険料負担だけ大きくしてしまったとすると、その企業はどうなるでしょうか。企業は売り上げを向上させ、利益をだすことで、企業価値が見出されることになります。取引先からの信用問題なども考えると、利益を圧縮し、節税のみにこだわるのはむしろ企業にとって大きな損失につながりかねません。極端な一例ですが、あまりに多大な節税効果を得ることよりも、少しでも節税ができるような保険活用に心がけてほしいと思います。

  • 【Q4】もし200万円の利益が出たとして、その分を保険料として10年間支払った場合と、税金で支払った差額分を積み立てた場合とでは、節税効果に違いはあるでしょうか。

    【A】まず、年間200万円の利益を出した場合に、10年後どれだけのお金をストックできるかを見ていきます(*ここでは便宜上、法人税率を30%、保険の解約返戻金は90%とします)。考え方を理解していただくために、細かい計算は省きます。まず200万円の利益に対して、1年間にかかる法人税は200万円×30%=60万円になります。10年間にかかる税金の総額は600万円です。では、保険に加入した場合はどうかといいますと、加入した保険商品が全額損金算入できるとすれば、年間200万円の保険料には税金がかかりません。これを10年間積み立てたとすると、2000万円になります。この時点で解約をした場合、解約返戻金は2000万円×90%=1800万円となります。つまり、得られた利益から税金の支払い分を差し引いた純利益を積み立てた金額は1400万円に対して、保険料を支払ってのちに解約した金額は1800万円と、400万円の節税効果を生みだします。なお、解約返戻金については、保険会社や加入している保険商品で違いはありますが、節税効果は生まれます。まさに隠れた財布となる効果が期待できます。

  • 【Q5】多少無理をしてでも節税効果を得るために保険を利用したほうがいいのでしょうか。

    【A】保険商品の節税効果については、確かにありますが、極端な言い方をすれば、利益をすべて保険商品で払い込めば、税金を支払うことなく、1年後には解約返戻金を手にできるという考えることもできなくはありません。さらにいえば、年間100万単位ではなく、数千万単位の保険料を支払うと考えたとしても、理論的には成立しなくもないとはいえます。しかし、よく考えてください。毎期、必ず保険料を支払うだけの利益を生み出すことはできるでしょうか。節税対策に保険を利用するためには、保険料そのものの支払いを損金にできるというほかに、解約返戻金による節税効果も期待できるという方法があります。しかし、保険は満期を目安にして、そこから逆算して保険料を決めています。当然、解約返戻金を目安にして保険商品が売られているわけではないのです。払込期間や保険商品によっては、解約返戻金の額が、解約まで払い込んでいた金額よりはるかに少ないということも大いにあります。無理のないところで計画を建て、節税効果を得るようにしてほしいと思います。