【1】相続贈与 | (2)税額目安

相続贈与に関する以下のQ&Aにお答えしています。
(1)遺産整理手続き (2)税額目安 (3)財産評価 (4)遺産分割 (5)税務申告 (6)税務調査

(2)税額目安の質問を表示しています。

  • 【Q1】 相続税はどのようにして計算するのでしょうか。

    【A】相続税の計算は次のようにして算出します。まず、相続した遺産総額がいくらかを計算します。そこから、相続税のかからない非課税財産やマイナス財産などを差し引きます。非課税財産とは、たとえば、葬儀代や香典代、国などに寄付等をした財産などのことをさします。

    マイナス財産とは、亡くなった人(被相続人)が主たる債務者となっている債務のことです。これらを遺産総額から差し引いたものを、「正味遺産総額」といいます。この正味遺産総額を算出したのち、基礎控除額等を差し引きます。こうして算出した金額が、課税遺産総額、つまり、相続税として課せられる対象となる金額です。

    この課税遺産総額を法定相続分によって相続したとすればいくらの相続税になるかの計算をしたものが相続税の総額となります。相続税総額を算出するまではおおむね上記のような流れですが、もっている財産によってそれぞれ評価方法が違っていたり、非課税財産だと思っていたものがそうでなかったりすることもあります。

    また、相続税財産に漏れがありますと、計算のやり直しのほか、新たに追加で課税されることもありますので、税理士など専門家に相談をされるのがよいでしょう。

  • 【Q2】相続税の控除額を増やすには、どのような方法があるでしょうか。

    【A】相続税の控除を増やす方法として、まず、法定相続人の数を増やすことがあります。相続税を算出する際に基礎控除額を差し引くのですが、基礎控除額は法定相続人が増えると控除額自体も増えます。

    たとえば、現行の基礎控除額の算式は「3,000万円+(600万円×法定相続人数)」ですので、法定相続人が3人の場合は4,800万円の基礎控除額になります。これが4人ですと5,400万円となり、600万円の基礎控除額が増える計算になります。

    では、法定相続人を増やす方法には何があるのかというと、養子縁組により子どもの数を増やすという方法があります。

    たとえば、亡くなった人(被相続人)にお孫さんがいる場合などは、お孫さんを養子縁組するわけです。お孫さんを養子にするならば、親族からも文句を言う人はいないでしょうし、いずれは次の世代(お孫さんのお父さん)から相続することを考えると、お祖父さんからの相続を1回で済ますことができます。

    ただし、本来は相続が2回行われるところを1回になることから、お孫さんが相続した分については相続税に2割加算が適用されますので注意してください。(相続税の養子の数には制限があります)

  • 【Q3】相続税がどれぐらいかかるのか、内心気になっています。目安にする方法はありますか。

    【A】相続税がかかるのか、かからないのかの判断をするうえでひとつの目安となるのは、どのような控除がなされるのかを確認する方法があります。

    まず控除されるのは、相続税の基礎控除額です。基礎控除額は、3,000万円に、法定相続人数に600万円を乗じたものを加えた金額のことです。

    たとえば、法定相続人が3人(配偶者、子ども2人)の場合、3,000万円+(600万円×3)となり、4,800万円が基礎控除額になります。もし、相続した遺産総額が4,800万円以下ならば、相続税はかかりません。

    この基礎控除額のほか、配偶者控除や未成年者控除などもあります。配偶者控除とは、配偶者が取得した財産が配偶者の法定相続分相当額以下か、もしくは遺産額が1億6,000万円以下であれば、たとえ配偶者が全遺産を相続したとしても、相続税はかかりません。

    また、法定相続人に未成年者がいる場合や、障害者がいる場合には、控除対象となります。

  • 【Q4】贈与税はどのようにして計算するのでしょうか。

    【A】相続税は、相続が発生した場合のみに課税されるものであるのに対して、贈与税は1年ごとに税額を算出するという暦年課税という方式を採用しています。

    贈与税とはそもそも、贈与する人(贈与者)と、もらう人(受贈者)という関係が成立している場合に適用されます。暦年課税方式とは、贈与者が受贈者に対して、1年間に贈与した金額が110万円を超えると、その超えた分が課税されるというものです。1年間単位で計算することになるため、次年度はまた110万円までであれば贈与税はかからない計算になります。

    単純に考えれば、もし10年間、受贈者が1年間あたり110万円以下の現金を贈与者から贈与を受け続けたとすると、1,100万円までは贈与税がかからない計算になります。

    ただし、このような贈与が毎年継続して行われる場合、「定期の贈与」とみなされて課税されることがあります。

    そこで、毎年、贈与契約書を作成するなどの注意が必要です。暦年課税のほか、贈与には、相続時に相続財産を精算するという相続時精算課税という制度も認められています。この方法を選択すると、累計で2,500万円までが非課税となる制度です。2,500万円を超えた金額に20%の税率をかけた金額を支払うことになりますが、相続時に精算することで課税をおさえるというメリットが期待できます。

  • 【Q5】先日、夫が亡くなりました。私(妻)と子供3人(二人は成人、一人は高校生)の場合、控除額はどのように計算すればいいのでしょうか。

    【A】夫(被相続人)の遺産を相続する人がご質問の妻、子ども3人の場合として、基礎控除額を計算します(なお、相続時精算課税やみなし相続財産などがないものとします)。

    平成25年の税制改正にともない、平成27年1月からは基礎控除額の計算は、3,000万円+(600万円×4人)=5,400万円になります。正味遺産総額が5,400万円以下であれば相続税はかかりません。それまでの基礎控除額は5,000万円+(1,000万円×4人)=9,000万円となっていましたので、平成27年1月の相続から適用される新税制では実に40%も引き下げられたことになります。

    もし基礎控除額以上の遺産がある場合は遺産の相続税総額を計算し、個々人にかかる相続税額を算出しますが、ここでも配偶者控除や、未成年者控除(高校生の子供さん)などの税額控除が適用されることになります。参考までに、もし配偶者がおらず、相続人が子供さんだけだった場合、基礎控除額や未成年者控除は適用されますが、配偶者控除は適用されませんので注意してください。