【1】相続贈与 | (3)財産評価

相続贈与に関する以下のQ&Aにお答えしています。
(1)遺産整理手続き (2)税額目安 (3)財産評価 (4)遺産分割 (5)税務申告 (6)税務調査

(3)財産評価の質問を表示しています。

  • 【Q1】相続税を計算するうえで、資産はどのように評価されるのでしょうか。

    【A】資産には、現金や預金、有価証券、貴金属、土地や建物などの不動産、自動車、掛け軸や陶器などの骨董品といったように、さまざまなものがあります。現金や預金については、被相続人名義などの預金通帳を確認することで金額が把握できますが、それ以外のものは、被相続人名義の資産がどれほどあって、どの程度の資産価値があるのかを調べなければなりません。

    そこで、相続税等の計算にあたっては、財産によってそれぞれ評価方法というのを設けています。評価方法とは、相続財産として計算するときに、当該財産がどの程度の評価となるのか、この評価方法に基づいて算出するのです。

    これにより、相続財産の総額をはじき出すことができます。相続税については、相続が発生して初めて生じるものですので、ふだんは資産がどれほどあるのかなどさほど考えることはないかもしれません。

    しかし、いざ相続となった場合、資産にはそれぞれ評価方法があって、その評価方法に基づいて算出するのだということを十分に理解したうえで、ある程度の資産額を前もって把握しておくことも必要といえます。

  • 【Q2】土地の評価ですが、どのような方法で計算するのでしょうか。

    【A】土地の価格には、次の4つの価格があります。それは、(1)実勢価格、(2)公示価格、(3)相続税評価額、(4)固定資産税評価額です。実勢価格とは、土地や建物が現時点においてどれぐらいの価格で市場において取引されているのかを表したものです。公示価格は、国土交通省土地鑑定委員会が評価した価格のことで、実勢価格とほぼ同じ価額になります。

    相続税評価額は、国税庁が評価した価格で、公示価格の約8割の金額となっています。固定資産税評価額とは、市町村が固定資産税の課税をするために評価した価格のことで、公示価格の約7割となります。

    宅地の評価ですが、(1)路線価方式と、(2)倍率方式のどちらかで評価します。路線価とは道路(路線)に面した標準的な宅地1平方メートルあたりの価額のことで、路線価方式は路線価などを示した路線価図をもとに算出します。路線価は毎年7月に発表されます。倍率方式は、毎年7月に発表される評価倍率表をもとに、農村や別荘地といった市街地以外の宅地の際に使われる計算方式です。路線価によるか、評価倍率表によるかは、路線価図や評価倍率表で確認します。

    以上のように、土地や宅地の評価方法はいくつかありますので、専門家に相談するなどして評価してもらうことが肝要です。

  • 【Q3】地主で、土地を貸して借地代をとっています。また、アパート経営をして家賃収入を得ています。こどちらも自分の所有地ですが、この場合の評価方法はどうなりますか。

    【A】土地を貸して借地代を得ているということですが、こちらは貸宅地の評価方法を用います。

    簡単にいいますと、土地を借りている借主と、地主との間で借地権の設定がなされている場合、土地を更地にしたときの更地価額から、借地権の評価額を差し引いた金額が、貸宅地の評価額になります。

    借地権が設定されていなければ、更地での価額になります。借地権割合は、住宅地で50~70%、繁華街で70~90%が標準となっています。

    一方、アパートなどの集合住宅や借家が建っている土地は、貸家建付地といいます。貸家建付地は更地と異なり、借家人の立ち退きなどに費用がかさむことから、更地価額で売ることは難しいとされています。

    そこで評価額は、更地の評価額-(更地の評価額×借地権割合×借家権割合)という算式で計算します。もし仮に、更地評価額が5000万円だったとして、借地権割合が70%、借家権割合が30%とすると、貸宅地の計算は、5000万円×(1-0.7)なので、=1500万円、貸家建付地の計算は、5000万円-(5000万円×0.7×0.3)=3950万円となります。

  • 【Q4】農業に従事しています。自農地のほか、資産として山林をもっている場合、どのような評価額になるのでしょうか。

    【A】農地は、次の4つにわけられます。農村地帯にある純農地や中間農地、都市やその近郊にある市街地周辺農地や市街地農地です。

    純農地と中間農地は、宅地でも使用している倍率方式を用いて評価額を算出します。固定資産税評価額に評価倍率表に記載された倍率を乗じて計算するのですが、宅地の評価倍率が1.0~1.2に対して、農地は5.0~10.0と高率になっているのが特徴です。

    市街地農地は、所在する場所によって宅地比準方式か、倍率方式で計算します。宅地比準方式とは、農地が宅地であると仮定した場合の1平方メートルあたりの価額から、宅地に転用するための1平方メートル分あたりの造成費を差し引き、そこに農地面積を乗じて計算します。

    市街地周辺農地は、市街地農地の方法で評価額を算出したものに、80%を乗じた価額になります。山林は、純山林、中間山林、市街地山林の3つに分けられます。純山林と中間山林は倍率方式ですが、市街地山林は宅地に転用可能となるため、市街地農地同様に宅地比準方式か、倍率方式で評価額を算出します。

  • 【Q5】上場していない株式をもっています。これはどのように評価されるのでしょうか。

    【A】上場していない株式、いわゆる非上場の株式を評価する場合は、上場株式と違って相場の時価がわかりません。そこで、非上場株式を相続する人が、当該会社の株式を多数保有する支配株主なのか、あるいは非支配株主なのかによって評価方式が違ってきます。

    支配株主であれば、原則的評価方式を採用します。この方式では、当該会社が大会社、中会社、小会社のいずれかの規模であるかどうかによってさらに評価方式が細分化されます。

    原則的評価方式には、同業種で公開されている上場会社の平均株価をベースにした類似業種比準方式、当該企業の資産および負債を計算の基礎にする純資産価額方式、上記2方式を併用した併用方式の3つの方法があります。

    非支配株主の場合、当該会社の配当金額から算出する特例評価方式という方法が採用されます。

    なお、原則的評価方式を採用する際に大会社、中会社、小会社に区別する場合は、従業員数や純資産価額、取引金額などを勘案し、卸売業、小売・サービス業、その他の業種に応じて基準が設けられていますので、その基準にそって区別することになります。