【1】相続贈与 | (5)税務申告

相続贈与に関する以下のQ&Aにお答えしています。
(1)遺産整理手続き (2)税額目安 (3)財産評価 (4)遺産分割 (5)税務申告 (6)税務調査

(5)税務申告の質問を表示しています。

  • 【Q1】相続の申告手続きはどうすればよいのでしょうか。

    【A】相続税の申告・納付の手続きは、亡くなった人(被相続人)が居住する住所地の管轄する税務署に行って行うことになります。相続の申告・納付は相続人がすることになりますので、相続した人の住所地を管轄する税務署で手続きを行ってしまいそうですが、被相続人の住所地を管轄する税務署で手続きを行うことになりますので注意してください。

    ところで、申告時に遺産の分割がまだなされていない場合があります。このような場合を遺産の「未分割」といいます。もし申告期限が来てしまった場合、未分割ではあるものの、法定相続分の割合で法定相続人に遺産が分割されたものとみなして申告書を提出します。相続税ではさまざまな控除が適用されますが、未分割による申告をする場合は、配偶者の税額控除や小規模宅地の評価減などの特例が使えません。

    ですから、多少は高い相続税を支払うことになってしまいます。

    しかし、のちに遺産分割が確定したら、改めて申告書を作成する際に上記のような特例分を反映して提出しますと、余分に支払った税金が還付されます。なお、このためには未分割申告書提出のとき「3年以内の分割見込書」を添付することが必要です。

  • 【Q2】相続税には申告期限はあるのでしょうか。

    【A】相続が発生しますと、相続の手続きをすることになりますが、最終的に相続の申告・納税をするまでの期間は10か月以内とされています。申告までの10か月間で、相続に関するすべての手続きを終える必要があるわけですから、なかなか大変なスケジュールを強いられることになります。

    ところで、この申告期限の間に色々な手続きをするわけですが、相続は必ずしもしなければならないというわけではなく、相続を放棄することもできます。この10か月間のおおよその目安として、相続開始から1か月以内に相続人の確認を行い、3か月以内に相続方法を決定し、4か月以内に相続の準確定申告、そして相続の申告・納税となります。

    3か月以内に相続方法を決定する際にすべきことが、相続放棄や限定承認などです。相続放棄を選択する場合に多いのは、プラスの財産よりもマイナスの財産のほうが明らかに多い場合などです。もし相続放棄を決定したら、相続が発生した日から3か月以内に家庭裁判所に申し出ます。

    限定承認とは、プラスの財産とマイナス財産があった場合、プラスの財産分からマイナスの財産分だけを差し引き、それ以外のプラスの財産分を相続するといったものです。どちらも3か月以内に家庭裁判所に申し出ませんと、相続を承認した(単純承認)ものとみなされますので、期限内に手続きをとるようにしてください。もし期限内に申告・納付がない場合、無申告加算税や延滞税などが発生する可能性がありますので注意しましょう。

  • 【Q3】相続税の支払いをすることになりました。支払いはクレジットなどでも可能でしょうか。

    【A】相続税に限ったことではありませんが、税金関係は原則的に現金納付となっています。相続税の納付の場合も同様です。お問い合わせのクレジットなどでも支払いは可能かどうかということですが、クレジットによる支払いはできない、というのが結論です。

    相続税でもっとも留意することは、相続税の支払いを想定して計算できない、という点にあります。相続税は家族の誰かがなくなって、初めて申告・納付をするという特徴がありますから、何の用意もしていないところに、突然相続税に関する課税が必要になるところは、他の税金とは違うわけです。

    もし、現金納付が難しい場合には、例外的な措置などがありますが、誰もが受けられるわけではなく、厳しいチェックがあります。特に資産を有する方については、普段から資産状況についてある程度整理をしておき、財産目録をつくっておくなどの措置を講じておくことが肝要です。

  • 【Q4】相続税を支払いたいのですが、どうしても現金での支払いができません。他に支払う方法はないのでしょうか。

    【A】相続税は現金納付が原則です。預金はもちろんですが、土地や建物をはじめ、宝飾類や動産など、換金できるものはできるだけ現金に換えて、現金納付をすることが求められます。

    しかし、家庭の事情等によって、どうしても現金が用意できないという場合も考えられます。

    そこで、相続税の納付にあたっては、例外的に延納が認められています。延納とは、2年~20年の間で相続税を分割して支払う方法です。延納を受けるためには、相続税額が10万円以上である、金銭で一括納付できない正当な理由がある、など、いくつかの要件に充当することが必要です。

    ただし、最大で6%の利子税がつくことから、支払い期間が長いほど利子税が高くなることになります。もし延納でも支払いが困難という場合には、 相続税の対象となる現物を納税にあてる、物納という方法も特例として認められています。現金以外で認められているものは、(1)国債・地方債、(2)不動産・船舶、(3)社債、株式、投資信託などの有価証券、(4)動産、という優先順位があります。

  • 【Q5】相続税の申告をしなければどうなるのでしょうか。

    【A】相続税の申告から逃れようとする人はいないとも限りません。家族がなくなり、死亡したことなどわからないだろうと思う人もいることでしょう。

    しかし、人がなくなると、死亡通知は各市区町村役場を経由して、税務署に自動的に通知される仕組みになっています。ですから、どこのだれがなくなったのか、すぐに把握することができるのです。税務署には、膨大なデータが蓄積されており、相続税の申告が必要か否かについて判断する材料があります。

    そして、相続税の課税対象になると思われる人に対しては、相続が開始された8カ月頃に相続人の代表者に対して申告の「お尋ね」という書面が送付されることになります。

    これは基礎控除額以上の財産があると想定される人に送付されるものですが、上記の書面が送付されないからといって大丈夫と思ってはいけません。税務署はその時点で財産の把握ができないだけという場合があるからです。このように、相続税の課税の対象になるかどうかは別として、相続税の申告は必ず行うことが必要です。