【1】相続贈与 | (4)遺産分割
相続贈与に関する以下のQ&Aにお答えしています。
(1)遺産整理手続き (2)税額目安 (3)財産評価 (4)遺産分割 (5)税務申告 (6)税務調査
(4)遺産分割の質問を表示しています。
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【Q1】よく、遺産分けとか、遺産分割という言葉を聞きます。これはどのようなことでしょうか。
【A】亡くなった方(被相続人)の財産を一般的に遺産とよびますが、相続税の関係で、相続人の立場や人数によって、遺産をどのように分配するかが変わってきます。
これは、単に被相続人の財産を分配するという意味のほかに、各相続人に対して課税される相続税を算出するうえで必要です。
遺産分割の典型的な一例をあげてみましょう。家族構成が夫と妻、子ども2人の場合で考えてみます。夫が亡くなった場合、相続人は妻と子ども2人になります。法律上では、法定相続人である妻と2人の子供の場合、妻は遺産の半分、子どもたちは遺産の半分の半分ずつ、つまり全遺産の4分の1ずつがそれぞれ相続財産として認められています。もし、実子以外の子どもがいたとして、その子供を認知しているかどうかで遺産相続に影響してきますし、遺言がある場合などは、第三者への財産分与という可能性も出てきます。
このように、状況によって遺産分割に影響が出てくることが考えられますので、相続問題の確認をする際には相続人が誰で、どのような立場か、戸籍謄本なども参考にしながら十分な検討が必要です。
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【Q2】遺産を分割する場合に、どのような手続きをすればいいのでしょうか。
【A】遺産分割までの主なポイントについてご説明しましょう。
被相続人が亡くなってから相続税の申告・納付までの期間は10か月以内とされています。この10カ月の間にすべきこととして、被相続人が亡くなってから7日以内に死亡届の提出、3カ月以内に相続人の確認や遺産の概要把握をします。
ここで、主たる相続人を把握します。相続を放棄しようとする人は、3か月以内に家庭裁判所の手続きが必要です。また、4か月以内に被相続人の亡くなった日までの所得について準確定申告をします。ここで遺産総額について確定されますので、それから相続人による遺産分割協議が行われることになります。
遺産分割協議では、相続人が集まり、どのように遺産を分割するかが話し合われることになります。遺産分割は、必ずしも法廷相続分を順守する必要はなく、最終的には相続人同士の話し合いで決定することになります。この遺産分割協議で話し合いがなされ、遺産分割の内容が決定したら、遺産分割協議書という書類を作成します。これにより、各相続人の遺産分割内容が明確になります。そして、晴れて遺産が各相続人に移転すると言う流れです。
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【Q3】先日父が亡くなり、遺産を分割することになりました。しかし、兄弟姉妹の間でなかなか話がまとまりません。どうすればいいのでしょうか。
【A】遺産分割は相続人が多ければ多いほど、まとめるのが難しいといわれています。相続=争族とも言われるように、相続人間での争いの火種になるといわれているからです。
また、遺産相続の金額が多ければ多いほど、遺産分割がもめるケースも多いようです。
この場合、基本的に、被相続人と相続人との関係にもよりますが、法律で決められている相続割合にそって遺産分割の話を進めることになります。それでも相続人同士での話がまとまらない、物別れになってしまうなどの事態になった場合、家庭裁判所に遺産分割についての調停・審判を仰ぐことになります。裁判所では、相続人の主張を整理し、遺産分割割合を確定させ調停調書や審判書を作ります。
これにより、最終的に相続財産の移転が完了することになります。このように、骨肉の争いになりそうならば、司法の手に委ねたほうがよい場合もあります。
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【Q4】もし相続人が妊娠しているときに相続人になった場合、法定相続人はどうなるのでしょうか。
【A】法定相続人のなかに、妊娠している相続人がいる場合についてのご質問です。
妊娠している相続人が被相続人の配偶者だった場合、生まれていなかったとしても、配偶者のおなかの中にいる胎児は生れたものとみなして相続人となります。被相続人がご主人の場合、配偶者と被相続人との間にすでに子どもがいると、相続人は配偶者のほか、胎児を含む子どもが該当します。
ここで胎児を含むかどうかの判断ですが、胎児が生存した状態で生まれてきた場合に相続人となります。胎児が生まれる前に遺産分割協議が終了していたとしても、生存した状態で胎児が生まれてきた場合、生まれる前に決定していた遺産分割協議は無効となります。無効となりますと、改めて遺産分割協議をやり直しすることになりますので注意してください。
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【Q5】遺言で遺産の配分が記載されていました。遺言どおりに遺産分割する必要があるのでしょうか。
【A】遺産分割にあたって、遺言の有無が影響しないとはいえません。被相続人の遺産に対する家族への思いやりだけでなく、遺志のようなものを完全に無視し、相続人が勝手に遺産分割を進めるというのも、後味が悪いことになります。
しかし、被相続人の遺志を尊重する必要はあるとはいえ、家族に一銭も残さず、愛犬のみに遺産を譲るとか、ある特定の団体等に全額寄付するなど、相続人の生活に大きな影響を及ぼすような法外な内容もないとはいえません。
そこで、遺産相続にあたっては、遺言の内容によって制約されるものの、その内容を理解しつつ、相続人同士の協議のうえで遺言の内容を参考にしながら、最終的に判断することが可能です。なお、被相続人との間に法律上は婚姻関係にない女性が生んだ子で、被相続人がその子どもを認知した場合は、非嫡出子といわれて、第一順位の相続権を有します。非嫡出子の場合の相続分は、嫡出子(正式な婚姻関係で生まれた子ども)の2分の1となります。